今日はお天気

先日、友人と二人で哲学の道を歩き、銀閣寺まで行った。
そして、銀閣寺に入り数十分して、出た。


出てしばらくすると尿意を催したので銀閣寺の近くの公衆便所に入った。
友人も小便をしたかったようで、公衆便所に入ると二人並んで用を足した。
オレは自分のペニスを見た。
包茎だった。
相変わらずの包茎だが、オレは大衆浴場等では見栄を張るためペニスの皮を剥いて入る仮性包茎だ。
なので年末、家族で赤穂に行ったとき泊まった温泉旅館でも例によって皮を剥いて大浴場に入った。


何気なく、そのことを友人に話した。
友人はしっかりとオレの話を聞いてくれた。


その時だった。
たまたまそこで小便をしていたおじさんがオレに向かって言った。


「黒人さんのはこんなにでかいよ〜」


大きいという事を表すジェスチャーをした。
赤ん坊を抱くときのジェスチャーだった。


それはもちろんペニスの大きさを表すジェスチャーだった。


そのおじさんはタクシー運転手だった。
とある観光客の黒人がその公衆便所で人が埋まってしまっている時に手洗い場で用を足したらしい。その時、そのタクシー運転手のおじさんは黒人のペニスを見てその行為と大きさに驚いた、という話だ。


カラッとした笑顔でそう話すおじさんにオレ達は思わず笑ってしまった。
そして、二言三言話すとおじさんはさわやかな笑顔で立ち去った。
オレたちも笑顔でおじさんを見送った。


でも、すぐに再会した。


歩いているとすぐに先程のおじさんのタクシーの横を通った。
車中にいたおじさんはすれ違うと身を乗り出し、オレたちに向かって言った。


「彼女にな、オレのんこんなんや言うたったらええ!」


そう言い先程のジェスチャーをした。
コイツは何を言ってるんだ、と思った。
それは彼女にどういう状況でいう話なんだろうか。
そうか、このおじさんはただ下ネタが好きなおじさんなのか。


でも、オレ達はそれで良かった。
それは笑顔になれたからだ。
おじさんの清清しい下ネタは単純にオレたちを笑顔にしてくた。
それは、もはや京都の風情のようにも思えた。


だからオレたちは又おじさんに対し笑顔で答えた。
嘘、偽りのない笑顔で。


ただ、おじさんは知る由もない。
オレたちは彼女なんて生まれてから一度も出来たことがないという事を。