お誕生日

今日でまたひとつ年を重ねる。
年齢だけはすっかり大人なんだけど、気持ちがそれに追いつかない。


追いつけないのか追いつこうとしていないのか、どちらなのだろう?
分からない。
分からないけど、ひとつ分かるのは多分気持ちが追いつかないって事があまり良くないという事だ。それはボク自身のものさしじゃなくて世間一般の尺度で考えたときにだ。


だから、そういう観点から見てボクは愚か者なのだ。まるでチンカスようだ。


チンカス。そう、チンポコのカスの事だ。
チンカスは包茎の男にありがちで、入浴時ちゃんと洗わないと出したときに異臭が漂う場合がある。


ボクは異臭を漂わせている。幼さと甘えという異臭をだ。
すっかり一人で生きていける年齢をしているにも関わらず未だに誰かに頼りきって安穏と暮らしている。そして、それではいけないと思いながら、まあいいか、とも思っている。
剥けてもいなければちゃんと洗ってもいない。だから異臭は漂い続ける。


まさにチンカスと云わず何と云うのだろう。
マンカスとでも言うか。いや、ボクは男だ。だからチンカスだ。
正確にはチンカスも同然という事なので最もしっくりくる呼び名としてはチンカスヤローが最適だ。


というか、そんな事はどうでもいいのだ。
ボクが年を重ねるということは、一般的な世間の尺度から見ればボクにとってめでたい事なので、誰かしらに祝ってもらうのが然るべきあり方である。
だからボクの気持ちが実年齢に追いついていなくっても誕生日にチンカスヤローなどと罵られるなどあってはならないのだ。


だから誰もオレをチンカスヤローとは呼ぶな。呼ばないでくれ。呼ばれたら悲しい。


お誕生日おめでとう。